研究課題
(1)従前の調査で、甲午農民軍(東学農民軍)を鎮圧した日本軍守備隊が大本営の指揮を受けたことが分かっているので、大本営の指揮と現地作戦の実態に関わる史料を、防衛研究所図書館で探索した。「外務大臣宛電信」、「大本営日清戦役電報綴」、「大本営副官着電綴」などから、甲午農民軍鎮圧に関わる、朝鮮兵站部から大本営への報告、大本営から朝鮮兵站部への作戦命令に関わる重要史料を見いだし、収集することができた。(2)防衛研究所図書館め調査で、現地日本軍鎮圧部隊の動静に関して、今年度も、各種「陣中日誌」類を見いだし、収集したが、とくに重要な成果に、朝鮮電信線設営部隊の指揮官「日誌」の収集がある。朝鮮農民軍の抗日蜂起は、朝鮮の政府の拒否を無視した日本軍電信線への妨害作戦として始まったのであり、日本軍指揮官の「日誌」には、朝鮮側の抵抗と弾圧の実状が克明に記されている。この原史料の解読、分析をすすめている。(3)以前の調査で、朝鮮現地鎮圧の中心部隊、後備第19大隊の指揮官が、山口県の下級武士出身で、幕末維新期に討幕・戊辰戦争などに顕著な政治活動したことを解明して、その直系の子孫も判明していた。山口県文書館で、この指揮官の幕末・明治期の政治活動に関する史料をさらに収集することができた。また、きわめて重要な成果として、今年度は、子孫との面会ができた。子孫宅には、指揮官「軍用行李」が保存されており、しかも、朝鮮政府から指揮官に宛てられた朝鮮政府公文書が多数、また、指揮官自身の農民軍鎮圧の詳細な公式「報告書」などが保存されていた。この史料群の保存についても尽力中である。日清戦争中、朝鮮甲午農民軍を徹底的に鎮圧、殲滅した日本軍の作戦(農民軍の死者3万名と言われる)を詳しく解明するために、これまでは知られていなかった核心となる史料群を発掘できた。
すべて 2008 2007
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
『世界システムと東アジア』今西一編, 日本経済評論社 (印刷中)
有島武郎研究 11号(印刷中)
北海道大学文学研究科紀要 123
ページ: 1-19