研究課題/領域番号 |
18520492
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西山 良平 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (30135503)
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研究分担者 |
藤田 勝也 関西大学, 工学部, 教授 (80202290)
前田 禎彦 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (80367250)
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キーワード | 平安京 / 貴族住宅 / 居住 / 伝領 / 寝殿造 / 宇治 / 平泉 / 小規模宅地 |
研究概要 |
本年度の目的は、研究課題の平安貴族の都市的な居住と住宅のうち、(1)居住の具体的なあり方、住宅の側面では、(2)平安京の未報告の遺跡を取り上げ、さらに宇治など平安京以外の都市の認識を深化する、さらに、(3)貴族の邸第と庭園、寝殿造の成立を考察する、以上の3点である。 (1)の論点では、伝領の観点から貴族の邸第のあり方を検討し、従来の邸第論の問題点を探索した。従来の伝領論では、女性・男性の性別が重視されるが、議論に行き詰まり感があり、同居など相続人と被相続人の親密な関係が主要な契機とする見方を提示した。(2)では、既報告であるが、未周知の平安京左京四条三坊四町を紹介し、この地点が藤原公任の四条宮の蓋然性を強調した。また、宇治の都市遺跡を文献と発掘の両面から検討し、11世紀後半に画期を認知できると評価した。従来は12世紀初頭が重視されるが、宇治の発展過程が微細に考察可能となった。 (3)については、(2)の平安京左京四条三坊四町も庭園遺跡であるが、平安京と平泉の寺院庭園を取り上げ、両者の密接な類似性を指摘した。また、邸第の寝殿造の成立・展開を近世の公家住宅にまで視野を拡大して把握した。そこから寝殿造の本質を不変の寝殿-アプローチー前庭の配置構成とし、その視角から成立を見通した。さらに、貴族の邸第論から平安京都市論の再考察が必至となり、邸第の対極の小規模宅地-行門・戸主制を平城京にまで立ち返り検証した。その結果、1/Xの表記からY戸主への変化、定型の戸主から不定型の戸主への変遷が判明し、あらためて平安京を多面的に認識する必要を痛感した。
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