近代日本の文書学を構想すべく、本研究課題では、政策過程に着目し、「機能論」による分析を行った。具体的に、近代文書を政策過程から、第一に大きく公文書(意思決定文書)と私文書(日記、メモ、書簡、配布文書等)に分類し、「機能論」から分類化した。そのうえで、第二に政策立案過程、政策決定過程、政策実施・執行過程、政策評価ごとに派生する文書を類型化し、両者をクロスして近代文書の総体としての分類と、体系化を行った。同時に、政策過程における文書の派生について体系的に考察することで現実の政策決定との類似性から、現実の文書管理についても考察し、文書館・公文書館(アーカイブス)構想、行政文書を中心とする評価・選別までの過程まで見通すことを実証した。 すなわち、歴史学の基礎領域に位置する近代日本文書学を通じて、現状の政策過程によって排出される文書に対する記録管理論、そして、それが収蔵される公文書館・文書館業務・文書館学を通暁する視点を提示し、歴史学のもつ射程を現在、そして未来の歴史学へも及ぼす視座を獲得することができた。
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