本研究の目的は、中世の紛争の基礎構造を解明することにある。中世の紛争は、村レベルから存在し、特に山野河海の資源をめぐるものとして生じた。 本研究においては、このような山野資源をめぐる紛争関係史料について、11世紀から16世紀までを4つに時期区分した上で、できる限り網羅的に収集・体系化し、公開可能なデータベースを作成することを最大の目的とする。そのうえで、いくつかの重要な事例について、史料検討やフィールドワークを通じて分析研究をすすめ、山野紛争とそれを通じての秩序形成という切り口から、日本中世社会の段階的特質について明らかにしたい。具体的には中世社会を4つの時期に区分して検討を進めていく。I平安~鎌倉前期、II鎌倉後期~南北朝期、III室町期、IV戦国期の4つの時期区分である。それぞれの時期は、I領域型荘園の形成期、II領域型荘園の動揺期、III荘園の再編と惣村の形成期、IV荘園の崩壊と領域権力の形成期に対応している。これらの時期区分に応じて、山野紛争関係史料を網羅的に収集し、いくつかの特徴的な紛争事例について、フィールドワークも含めて集中的に分析・研究を行うことで、それぞれの時期の山野紛争と秩序形成の特色を明らかにすることができると考える。
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