最終年度である本年度も、昨年度に引き続いて内務省・内務行政の再編成・変容期である1910年代〜40年代を主な対象として、基礎的な研究の推進をはかった。まず第一に、内務省・内務行政に関する研究状況を把握するため、関係著書・論文等を調査し、全般、官僚、地方行政、警察行政、社会行政、衛生行政、神社行政、土木行政、防空行政、外地・境界に区分して目録化をはかり、Web上で公開(暫定版)する準備を完了した。第二に、内務官僚に関する人事データを集積するため、内閣が発行した『職員録』にもとづき、1887(明治20)年より1943(昭和18)年までの内務本省に勤務した奏任官以上の内務官僚の人事情報をデータベースとして構築し、Web上で公開する準備を完了した。第三に、内務省・内務行政関係史料の所在状況の把握をはかるため、中央の機関等所蔵史料の調査を中心的に推進し、とくに国立国会図書館憲政資料室所蔵の個人史料(「大野緑一郎関係文書」)については複写・収集を進めて、本格的研究の前提条件を整備した。また、社会局刊行史料の所在を調査してリストを作成した。第四に、大学院博士課程の学生を中心とする<新しい内務省史>研究会を昨年度に引き続いて組織し、7回にわたって研究会を開催して(2007年7月7日、8月10日、9月29日、10月27日、12月3日、2008年1月12日、2月4日)、研究の深化をはかるとともに、研究文献の目録化と人事データの構築の進捗をはかった。また、12月3日には講師を招いて、基礎的研究について専門的な知識の提供を得た。第五に、研究推進の過程で、大正〜昭和初期の内務官僚(地方官)中野邦一の関係文書を入手し、その整理・解読を行って、内務官僚研究・内務行政研究に新たな史料を加えた。以上を通じて、"新しい内務省史"構築のための基盤を固めた。
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