平成20年度においては、19年度に検討した中央権力の浸透が、地域社会の構造に作用を及ぼした結果、地域社会の構造や地域エリート等の性格に、どのような変容を生じたのかを検討するための史料収集およびその閲読に努めた。 20年度の実施計画では、(1)江南各地域の、1930年代前半の地方自治に関する文献や地域社会に関係する文献、いわゆる地方文献を閲覧・収集し、検討すること、(2)同時期の各県の報告書、地方新聞(『新江蘇報』『錫報』『呉語』『呉声』)、社会調査、あるいは江蘇地区で発行されていた雑誌である『明日之江蘇』『江蘇研究』などの閲覧・収集、必要ならば(3)地方トウ案館での史料収集の実施、を掲げた。これらに関して(1)(2)はおおむね順調に推進することができた。だが、まだ閲読が未了のものも残っているので、21年度において継続して進めていきたい。また(3)に関しては一ヵ所訪問して閲覧し、必要と思われる史料を収集した。 また、本研究に深く関わる研究書(『党員、党権與党争-1924-1949年中国国民党的組織形態』や『中国国民党党政体制剖析』など)を検討し、近年の研究動向を確認した。 さらに、20年度までの研究成果の一部分として、次ページに掲げるような成果をまとめ、発表することができた。
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