本研究の目的は、1920 年代から1930 年代中葉(日中戦争前)に到る間の中国江南社会を主要な対象とし、南京国民政府の成立前後において国家建設が進められる中で、国家が社会に対して如何にしてその支配を浸透させようとしたのか、そして他方、地域社会はそのような国家支配の浸透に対してどのように対応したのか、すなわち、国家と地域社会とが如何なる秩序を形成したのかを、実証的に検討しようとするものである。そして、上述のような実証研究を通じて、さらに、地域社会がどのように党国体制に包摂されていったのか、あるいは党国体制に包摂されつつもどのように自律性を確保していったのかを検討し、地域社会論的視角と党国体制論的視角を統一的に理解するための視座を獲得せんとすることにある。
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