研究課題
基盤研究(C)
植民地期朝鮮における戸籍(1923年までは民籍)を住民登録のシステムとしてとらえ、それが身分関係を公示する戸籍でありながら、それとは異なる性格を合わせ持つものであったことを明らかにした。附籍(主家に従属する者を登録した民籍)の存在、職業や種痘成績の記載などがそれを表わしている。また、民籍・戸籍に登録される朝鮮人の名前がどのように変化したかを見ることによって、住民がいかに把握されたかを知ることができる。女性の命名や子どもの名づけ、ハングル名の禁止など、植民地権力が住民を把握ためにとった措置を明らかにした。これらの問題については、韓国の行政機関に保管されている除籍簿(植民地期の民籍・戸籍)を閲覧・調査して、実際の例を検出することに努めた。植民地権力が住民把握に力を注いだにもかかわらず、戸籍に登録されていない者が多数にのぼる状況は、植民地支配末期になっても改善されなかった。その実態を当時の実地調査報告によって検討した上で、その一因として植民地支配への朝鮮人の抵抗があったことを明らかにした。また、1940年に実施された「創氏改名」が、戸籍上の本名を姓名から氏名に変えさせるものであったこと、家族制度の面では同化を図りながら、一方で日本人と朝鮮人との差異を維持するものであったこと、創氏改名に対して朝鮮人が受容、抵抗を含む多様な対応を示したことなどを明らかにした。その成果を『創氏改名』(岩波新書)として公表した。
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『日帝植民地時期を読み直す』(韓国学の世界化事業団・延世大学校国学研究院編、ソウル、図書出版ヘアン)
ページ: 69-82
田中宏・板垣竜太編『日韓 始まりのための20章』(岩波書店)
ページ: 50-54
Re-reading Japanese Colonial Rule. Seoul, Publishers Hvean
20 Chapters for New Era of Japan-Korea Relation. Iwanami Shoten Publishers