研究概要 |
1,行財政政策に視点をすえながら、1949年革命前後の政治的変動の内実を地域・地方の実態から明らかにするという研究目的に即して、3人のメンバーは上海史档案館において档案資料の調査を行い、それぞれが研究分担にそった史料を収集した。 2,1949年前後の政治的変動に関わる史料として、上海の行財政政策分析に有用な歴史档案のマイクロフィルム(人民共和国成立後の中央と上海における税務関連档案)を購入した。 3,今年度も、研究打合会及び3人のメンバーが参加する諸々の研究会・学会の機会、あるいはメール等の通信手段を利用して、研究目的に関わる史料・研究状況について情報交換を行った。今年度の正式な研究打合会は1回。 4,研究代表者の金子は、本研究計画の対象時期から時代を遡る北京政府期の国家統合と中央・地方関係について専著を公刊し、49年革命前後の政治的変動を近代中国史の長期的なパースペクティヴのなかで捉える視点を獲得した。また、昨年度に引き続き、人民共和国成立初期の上海における商工業税制に関する文献(雑誌新聞・档案史料および先行研究)の整理・検討を進めつつある。 研究分担者の笹川は、日中戦争期の総力戦体制の構築が農村に及ぼした政治的・社会的影響を分析し、それによる農村の政治的・社会的構造の変容が49年革命をこえて、如何に継承されたのかという観点から斬新な研究を公刊した。同じく研究分担者の水羽は、戦後内戦期におけるリベラリスト(知識人)の思想的営為と、彼ら・彼女らのリベラルな活動が共産党の49年革命に至るまで中国政治に与えた思想的インパクトについて専著を公刊した。
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