本研究は、研究が少ない戦時期の華僑に焦点を絞り、地球規模でその動態と構造を解明しようとする野心的な試みである。その際、華僑のみの研究を脱却して、華僑、重慶国民政府、汪精衛の南京傀儡政権、日本との4極構造を設定し、政治力学的に分析を加えた。 (1) 日本華僑に樺太華僑を歴史開拓的に研究し、北海道華僑との連繋を探る。 (2) 日本内の横浜、神戸、長崎、さらに沖縄各華僑の実態と動向を探究する。従来、神戸とか横浜とか地域的に分断した研究はあったが、本研究では同時に日本規模での動態を明らかにする。 (3) 日本植民地の台湾、朝鮮両華僑の実態と動向を明らかにする。その際、万宝山・朝鮮事件での朝鮮民衆の華僑虐殺暴動にもメスを入れる。 (4) 南洋華僑の実態分析をおこなう。 (5) 日本、台湾、朝鮮、南洋の各華僑教育の実態と特色を明らかにする。 (6) 欧米華僑の実態と動向を解明する。 これらを総合的に考察し、戦時期における地球規模での華僑の動態と有機的関連を4極構造から分析を加える。
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