研究概要 |
1.1〜2世紀の古代ローマの考古学・歴史学の研究文献をデータ検索し、十数点の新しい文献(D.Davis, The Book of Pontiffs, H.Chadwick, The Church in Ancient Society.他)を購入し、検討した。 2.東京等に出張し、豊田教授(上智大)、保坂助教授(千葉大)ら古代キリスト教史研究者と情報交換を行い、当該時代ローマの、特に考古学上の研究、発掘の現状について知見を得た。 3.2006年8月に連合王国ロンドン大学古典学研究所に出張し、古代ローマ帝国社会史・初期キリスト教史の文献調査、その検討、複写などを行うと共に、P.Garnsey(ケムブリジ大)、W.Liebeshuetz(ノッティンガム大)らの研究者と交流し、情報の提供を得た。 4.2007年2〜3月にかけてイタリアおよび連合王国に出張し(経費は科研以外から)、イタリアではローマ市において2〜3世紀のキリスト教徒の存在を知らせる遺跡(サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会、サン・ピエトロ教会(ヴァチカン)、アッピア街道沿いのカタコンベ、オスティア・アンティカ等)を実地観察した。また連合王国では上記研究所で文献調査とその検討作業を行った。 5.研究成果の一部を著書・論文の形で公刊した。『キリスト教徒が生きたローマ帝国』は、本研究課題遂行以前に行っていた研究成果を主としてまとめたものであるが、特に第8章「ローマ帝国のキリスト教化」の、ローマ市における初期キリスト教遺跡に関する叙述の部分に、本研究課題の成果を生かしている。この他に論文・書評・学界動向各1編を公刊した。 6.研究成果を社会に還元するために、2006年8月、仙台市博物館において古代ローマ、ポンペイの社会生活に関する市民向け講演会を、2007年1〜2月にかけて仙台YWCAにおいても講座を担当した。
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