本研究はロシア革命=内戦において重要な位置を占め、ユニークな軌跡をたどったグルジヤ・メンシェヴィキの歴史的研究を課題とする。初年度である平成18年度は当初の計画通り、世界大戦のただなかメンシェヴィキの諸潮流が戦争と革命の問題をめぐってくりひろげた論争、意見の分岐を歴史的に考察し、そのなかでのグルジヤ・メンシェヴィキの役割と位置を明らかにする研究を進めた。 主に次の諸点について考察した。 世界大戦の勃発とメンシェヴィキの諸潮流 「シベリアのツィンメルヴァルト派」 ツェレテリの首都帰還と「革命的祖国防衛主義」路線の主導権確立 四月危機と第一次連立政府 メンシェヴィキ全露五月協議会 ジョルダニヤの連立批判 革命の政治過程とツェレテリ、ジョルダニヤ 史料の調査、収集においては、秋のモスクワの二つのアルヒーフ文書館での研究と、ハーヴァード大学ホートン図書館所蔵のメンシェヴィキ・グルジヤ亡命政府のコレクションGeorgian Archiveのマイクロフィルムでの収集(同図書館が必要条件として求めたグルジヤ国立歴史アルヒーフからの複製許可状の取得について、グルジヤの歴史家の多大な協力をえた)が特筆される。これはグルジヤ・メンシェヴィキの軌跡と彼ら自身の時代認識を考察し、多民族帝国ロシアにおける革命=内戦の構造を歴史的に解明する本研究課題にとって第一級の史料である。
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