本研究はロシア革命=内戦において重要な位置を占め、ユニークな軌跡をたどったグルジヤ・メンシェヴィキの歴史的研究を課題とする。 最終年度である平成20年度は、これまでの研究を踏まえて総括し、世界大戦から革命=内戦期、グルジヤ共和国期にメンシェヴィキの諸潮流が戦争と革命の問題をめぐってくりひろげた論争、意見の分岐を歴史的に考察し、そのなかでのグルジヤ・メンシェヴィキーの役割と位置を明らかにする研究を進めた。 『グルジヤ・メンシェヴィキ(論文と史料)』に収めた論文「戦争と革命-ズラボフとツェレテリをめぐって」では、第二国会の社会民主党会派議長であり、流刑先のシベリアで革命的祖国防衛主義をとなえ、1917年5月連立政府形成の中心となるツェレテリにたいし、グルジヤ選出の同国会議員であったズラボフ(アルメニヤ人メンシェヴィク)に焦点をあて、彼の連立政府形成についての議論、状況認識を縦糸にして、ツェレテリの主張を再検討し、メンシェヴィキ諸潮流にとっての戦争と革命の問題をあらためて考察した。さらに史料として、グルジヤ・メンシェヴィキ政権の亡命直後のアピールを訳出し、史料解題を付した。
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