研究概要 |
本研究は,ナチスによる弾圧と離散という状況にあって,ドイツ「第三帝国」に対して果敢に抵抗を試みた中欧(ドイツ,オーストリア,チェコスロヴァキア)のドイツ人社会主義者の運動を相互に比較検討し,それぞれの国内の抵抗運動との関係および戦後秩序の形成,とくにドイツ問題の解決に向けての彼らの対応を明らかにしようとするものである。 本年度は,第二次世界大戦中にイギリスに集結したオーストリア,チェコスロヴァキア(いわゆるズデーテン地方)のドイツ人社会主義者の抵抗運動,およびドイツ社会民主党亡命指導部の相互の関係および彼らの戦後ドイツ・中欧構想を重点的に検討した。 このため,フリードリヒ・エーベルト財団社会民主主義文書館(ボン)をはじめとする文書館・図書館などに二回出張し,関連史料の整理・検討を行い,あわせて,国内の図書館に所蔵されている関連文献・史料の収集に努めた。また,引き続き,ゲシュタポ・全国保安部の報告文書でドイツ・中欧各地域の抵抗と迫害,世論動向を調査し,亡命社会主義者の抵抗・戦後構想との関連性を研究した。
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