本科学研究費プロジェクト4ヵ年計画の三年目にあたる平成20年度は、平成18年度・19年度に引き続き、人種関連やジェンダー・セクシュアリティ関連の専門書の収集に努め、また3月には、アメリカ東海岸の図書館、文書館(国立公文書館、議会図書館、ニューヨーク公立図書館、コロンビア大学図書館など)をまわり、異人種間結婚禁止法と断種法に関する史料とアメリカ優生学運動の拠点であるコールド・スプリング・ハーバーに関する史料の収集を重点的に行った。 研究発表としては、5月に歴史学研究会年次大会の近代史部会「分類のポリティクス-近代的「人種」の再検討」において「「人種化の近代」とアメリカ合衆国-ソシアビリテの交錯と「国民」の境界-」の報告を行った。ここでは、人種研究の新たな展望を示し、歴史学における人種的視座の重要性を主張した。同報告は、『歴史学研究』大会特集号にも掲載された。また、8月の日本アメリカ史学会年次大会では「シンポジウム:世界史教育のなかのアメリカ史」にコメンテーターとして参加し、12月には京都大学主催の国際シンポジウム「変化する人種イメージ-表象から考える」(The 12th Kyoto University International Symposium : Transforming Racial Images-Analyses of Representations)に参加し、本研究の成果の一端を報告した。また、刊行物としては『北米の小さな博物館2』において「ホロコースト記念博物館」の章を分担執筆し、アメリカにおけるホロコーストの記憶についての論考を発表した。
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