本研究の目的は、アメリカ合衆国の優生学運動を歴史的に検証し、それがアメリカ社会の人種秩序の構築といかなる関係にあったのかを問い直すことにある。これまでに進められてきた研究は特定の地域に限定された断片的なものであったので、それらを総合してアメリカにおける優生思想の隆盛がもたらした、異人種間結婚禁止法や断種法の法体系の確立の過程とその意義を問い直すものである。また、近年の研究では、アメリカの優生学運動が国際的な優生学運動と連動していたことが明らかになってきているので、そのような視点から、国際優生学会議との関係や、ナチス・ドイツの優生学との関係性を実証的に問い直すことを目的としている。
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