研究概要 |
本研究の目的は,第1に,第二次世界大戦後にソ連の支配下にはいった東ガリツィアでのウクライナ人・ユダヤ人関係の緊張化の原因と過程を解明すること,第2に,独ソ戦直後の東ガリツィアにおけるポグロム発生のメカニズムを可能なかぎり解明することにおかれている。本年度は,第1,第2の目的に関連して,当初の研究計画通り2007年9月7日から19日まで,ドイツのベルリンのザクセンハウゼン強制収容所文書館,ベルリン、カールホルスト博物館(独ソ戦の展示を中心とする別名ドイツ、ロシア博物館)等において史料調査と収集を行った。ザクセンハウゼンは,ウクライナ民族主義者組織の指導者バンデラが第二次世界大戦終了まで収容されていた収容所である。 平成18年度および本年度の研究成果は,論文「検証1941年リヴィウのポグロム」(野村真理他編『思想史と社会史の弁証法』御茶の水書房,2007年)にまとめた。 また本研究の比較対象であるリトアニアのケースについては,2007年10月20日に開催された日本歴史学協会、日本学術会議史学委員会共催の歴史教育シンポジウム「現代史認識と歴史教育」(東京大学)において報告した。論題は「自国史の検証,リトアニアにおけるホロコーストの記憶をめぐって」である。その他,2007年11月9日に開催されたロシア史研究会大会の独ソ戦をテーマとするシンポジウム「ドイツ占領地域における強制労働,ユダヤ人虐殺,疎開」(早稲田大学)にコメンテーターとして招聘され,本研究の研究成果の一部を報告した。
|