平成18年10月、過去数年間、東京大学大学院の深沢克己教授を中心に進められてきた共同研究の成果を取り入れつつ、自分自身の研究成果としてまとめてきた論攷がようやく出版の機会を得た。特に、共同研究が一段落した後の2006年になってから、フランスの最新の二次史料群を入手し、研究を深め、それを内容に反映させることができたのは喜ばしいことであった。最近のフランスでは、この分野ではリモージュ大学のドランデ教授を中心に、主に路上の宗教行列が研究対象とされている。これらの研究では、公共空間という視点も取り入れられていて、これまでの拙稿の問題設定の正当性が裏付けられた。ドランデ教授らによる研究によって、公認宗教体制が確立した時期の諸問題が解明された点に大いに刺激を受けたが、この研究で進めている草創期の実態を明らかにする必要性はさらに高まったと言える。幸いなことに、平成19年度に本務校から一年間の在外研究を認められた。そのため、平成18年度の後半には、パリ第一大学のフランス革命史研究所に受け入れを依頼するなど、翌年度の研究生活の準備作業を進める必要が出た。そのため、あまり購入したマイクロフィルムの分析は進められていない。さらに、年が変わって平成19年になると、準備をより具体化する必要が高まった。その中で、パリ第一大学の受け入れ手続きに支障が生じてしまい、結局は研究者用長期ヴィザ申請と正式の受け入れが平成19年4月中旬以降に繰り延べられるという困った事態に陥り、この間、研究はほとんど進めることができなかったのは無念であった。
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