本研究計画が対象とする時期は、9世紀~10世紀、すなわち、フランク=カロリング帝国の動揺・崩壊期からポスト・カロリング期における東フランク・"ドイツ"王国の成立期にかけてである。帝国・皇帝権、王国・王権、分国という政治的空間・制度・理念の複合的・重層的構造の中で、各レヴェルにおけるエトノス生成は、いかに進行し、あるいは阻害されたのか。本研究計画を貫く問題意識は、今日統合へと向かいつつあるヨーロッパの多様性を、19世紀的な国民国家のパラダイムとは異なる視座から理解する確かな手掛かりを与えてくれるはずである。
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