今年度は、ヨーロッパとアジアで出土した資料調査を行った。オランダではアムステルダム、ザーンダイク、ドルトレヒト、スヘルトヘンボス、アルクマー、イギリスではロンドンにおいて消費遺跡出土資料、1613年沈没のヴィッテレウの積載資料調査を行った。また、東洋におけるオランダ東インド会社の流通拠点遺跡であるタイのアユタヤ、台湾のゼーランディア、澎湖諸島の資料調査もあわせて行った。 オランダでは17世紀前半から18世紀にかけての東洋陶磁器が確認された。このうち海岸部が内陸部より東洋陶磁器の出現が早くなる傾向が伺えた。また、イギリスではオランダより出現がやや遅れ、18世紀中葉以降に多く認められたが、調査資料数の問題もあり、今後調査を継続する必要があるだろう。 タイのアユタヤでは、14世紀以降王国の首都であったこともあり、古い時代の製品が多く混入している。オランダ商館時代の貿易陶磁器はスワトウが最も多く、本国とは異なる様相が伺えた。台湾ではゼーランディアにおいて東洋陶磁器が確認されたが、出土量が少なく傾向を把握するには至らなかった。
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