今年度は、ヨーロッパの貿易の途中にある資料として貿易拠点と流通資料の調査を行った。これらは流通段階の貿易様態を明らかにするためと、消費遺跡の消費状況とのクロスチェックを行うためである。 日本国内では、長崎市内、出島のオランダ商館跡など日本における拠点や輸出向けと推定される一括流通資料の調査を行った。長崎市内から出土する貿易陶磁器は、東南アジア、西アジア、ヨーロッパなど各方面向けの製品が混在し、消費資料との突き合わせが必要であるが、ヨーロッパ向けと考えられる製品の多くは、昨年度のオランダ、イギリスの調査では確認できなかった。一方、出島出土の陶磁器は、貿易品としての性格を有するかの検証が必要なものの、磁器製品においても中国製品が日本製品を大きく凌駕していた。 海外資料調査は、ハノイ歴史博物館においてベトナム近海で沈没した船の一括資料について行った。ベトナムの調査は最終年度に予定していたが、出土資料が膨大であるため、二年度に分けて行うことに変更した。 昨年度行ったオランダ、イギリスでの調査の整理を行った。これは継続中である。 また、年度末に来年度秋に予定している報告会に向けての打ち合わせを研究協力者と行った。
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