今年度は最終年度として、これまでの調査で必要なデータを取ることができなかった、イギリス、ベトナムの調査および、研究の総括として研究集会を行った。 イギリス調査によって、オランダでは、貿易開始当初から18世紀までカップ、ソーサーなどの飲用の器種が多く確認できるのに対し、イギリスでは17世紀の製品はほとんど見られず、18世紀ではカップ&ソーサーの他にサービスの皿類が多く確認され、国による東洋陶磁器需要に違いが確認できた意義は大きい。 ベトナムのホイアンでは、現状でヨーロッパ貿易と直接関連づけられる資料の調査は確認されなかったが、ヨーロッパの消費様相、沈船資料、東洋の生産地資料などとクロスチェックを行うべきアジアの消費様相が良好な形で確認できた。 本研究代表者および研究協力者による、研究成果の報告および当該研究の今後に向けた方向性を確認する意味で、研究集会を開催した。研究集会では、流通、消費に対して考古学、文献史学の成果から、ヨーロッパ陶磁器貿易と文化的背景について高次の成果を得ることができたと考えている。
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