18年度は、青森県むつ市最花貝塚と同名川町剣吉荒町遺跡出土土器の資料化、青森県佐井村八幡堂遺跡出土土器の水洗・注記等の基礎整理を中心に作業を進めた。 最花A貝塚と剣吉荒町遺跡出土土器については、個体別分類と接合等がほぼ終了し、実測・拓本作業を実施した。整理の過程において、最花A貝塚出土土器は、縄文時代中期後葉、従来の「最花式土器」の一部分のみから構成されることが明らかになり、当初の想定通り、土器編年研究上きわめて重要な資料となることが確認された。 剣吉荒町遺跡出土土器は、砂沢式土器に伴い、所謂「遠賀川系」土器が相当数存在することが明らかになったため、まずはその抽出と資料化を優先的に進めた。従来知られていなかった削出突帯をもつ土器の存在など、やはり土器編年研究上問題となる資料が注目される。 18年度に水洗・注記等の基礎整理を終了させる予定であった八幡堂遺跡出土土器は、新たに100箱以上の土器が存在することが判明し、当初想定していた資料数を大きく超えるものとなったため、19年度にも引き続き基礎整理を行うことになった。縄文時代晩期末葉の大洞A'式を主体とし、宇鉄II式と若干の大洞A式、砂沢式等を含む土器群である。一方で、大洞A'式の完形土器がまとまって出土した地点の土器群を抽出し、実測や拓本等の資料化を進めることにした。この完形土器群の資料化についてはほぼ終了しており、近く成果を発表する予定である。 なお、剣吉荒町遺跡出土土器、佐井八幡堂遺跡出土土器の対比資料として、岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター所蔵の金附遺跡出土土器の調査を行った。
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