本研究は、日記の解読を通して武士と農民の生活を明らかにすることを目的とした。元禄時代の「鸚鵡籠中記」の分析では、従来のふしだらな奉行と悪妻というイメージを覆す夫婦愛、家族愛の日常生活を明らかにできた。また、同日記に記載された自然災害(地震、雷、火事、風水害)に注目すると、当時の人々がこれらの災害に非常に敏感で恐怖心を持っていたことが分かった。明治~昭和戦前期の岐阜県羽島市、山梨県南アルプス市および鹿児島県南種子島町の各農民日記からは、農業だけを営む農民は希で個々人が漁業、商業など多様な生業に就いている日常生活が明らかになった。
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