• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

ドイツ大都市圏内の問題地区再生と都市ガバナンスに関する社会地理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18520612
研究機関九州大学

研究代表者

山本 健兒  九州大学, 経済学研究院, 教授 (50136355)

キーワードグローバリゼーション / 都市 / 社会的排除 / ドイツ / 移民 / 街区マネジメント / エンパワメント / 社会福祉団体
研究概要

グローバリゼーションの進展とともに社会的経済的・空間的な都市内二極分解が激化している、とドイツの各レベルの政府は認識している。困難な状況にある街区は産業化時代に都市化した都心周縁部か、または郊外的の大規模住宅団地のいずれかである。この問題を克服するためにEU、ドイツ連邦共和国、これを構成する州、そして都市自治体というさまざまなレベルの政府が協力して政策を実施している。本年度は、その典型例としてのドルトムントとデュースブルク、ならびに1970年代の都心周縁部が類似の問題を抱えていたミュンヘンでなぜ問題が深刻化しなかったのか、この3つの事例に関する現地調査を行うとともに、その成果を学会発表し、かつドルトムントについては3本の論文にまとめた。
ミュンヘンでは、再開発アクターとしてのミュンヘン都市再生有限会社による慎重な再開発が功を奏したといえる。その手法は、ベルリンのクロイツベルクでの再開発計画に伴う著しいコンフリクト・失敗から学んだ結果でもある。ただしミュンヘンにも社会的排除の顕著な街区が郊外にある。1950〜60年代にかけて成立した街区イメージと、1990年代に進行した移民の流入とが相乗的に作用してスパイラル的劣化という印象を強化した。しかし、ここでもプロテスタント系の社会福祉団体の活動によって、社会的排除はやわらげられている。
ドルトムントでは都心周縁部での貧困が1990年代から21世紀にかけて激化したとは必ずしも言えないが、例えば移民人口の増加によってそのイメージが強化された。この地区の再生政策は、ローカル経済の再建、建造環境の改善、住民のエンパワメントの3つの柱からなる。このうち、第2と第3の事業は顕著な成果を収めた。特に街区マネジメントというコーディネータの活動が成果を挙げた。しかし、ドルトムントと同じような性格の街区を持つデュースブルクでは、成功の度合いが弱い。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ドイツの都市内社会的空間的分極化は激化したか? -ドルトムント市の事例-2009

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 雑誌名

      地理学評論 82

      ページ: 1-25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] グローバリゼーションのもとでの欧州的都市政策-ドイツ・ドルトムント市の問題街区再生事業に焦点を当てて-2009

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 雑誌名

      日本EU学会年報 29(予定、印刷中)

      ページ: 221-244

    • 査読あり
  • [雑誌論文] EUの都市政策2009

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 雑誌名

      経済学研究 75巻5・6合併号(印刷中)

  • [学会発表] グローバリゼーションのもとでの欧州的都市政策-ドイツ都市の問題街区再生事業に焦点を当てて-2008

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 学会等名
      日本EU学会
    • 発表場所
      静岡県立大学
    • 年月日
      2008-11-23
  • [学会発表] 街区再開発事業におけるドイツ諸都市の中でのミュンヘン市の優位性2008

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 学会等名
      日本地理学会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-10-04
  • [学会発表] EUの都市政策-デュースブルク市マルクスローを事例として-2008

    • 著者名/発表者名
      山本健兒
    • 学会等名
      九州EU研究会
    • 発表場所
      西南学院大学
    • 年月日
      2008-08-01

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi