ドイツの大都市では、グローバリゼーションの進展に伴って社会的空間的分極化が激化したといわれている。本研究では、その実態があるか否かをベルリン、ルール地域のドルトムントとデュースブルク、そしてミュンヘンを事例にして再検討するとともに、問題街区の再生政策とそのためのガバナンス構造を分析した。その結果、ミュンヘンでの分極化は顕著と言えないが、これを含めていずれの都市にも社会的排除が顕著な問題街区があること、その再生政策がEU、連邦政府、州政府の資金などの補助を得て推進され、一定の成果を挙げていることが判明した。しかし、実施された施策の中には効果を挙げていないものもあるし、社会的排除の問題がすべて解消される方向に向かっているとは言えない。
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