平成18年度においては、おおむね以下のような活動および調査研究を行った。 1.今年度前半においては、新潟県上越市の西部中山間地におけるNPOの活動に関する調査を実施した。全国の例にもれず、当地域も過疎という深刻な問題をかかえており、地域社会の維持に対して危機的な状態にある。上越市当局は「くわどり湯ったり村」『地球環境学校」という二つの第三セクターを設立して地域の振興を図っているが、その運営にあたっているのが、「かみえちご山里ファン倶楽部」というNPO団体である。この団体は9人の専属スタッフを要し、上記二つの施設運営のほか、地域住民との交流のうえにたった地域の伝統技術や民俗文化の発掘にあたっている。これらの事業はそれなりに住民の副収入にもなっており、地域社会の維持に大きく貢献しているようである。 2.広範においては一転して東部山間地の新住民組織の調査に入った。上越市は2005年1月より周辺13町村を吸収する形で大規模な市町村合併を果たした。そこでこれら九町村が消滅した結果、さまざまな問題が生起することになった。事態の根本はそれ自体の行政機構も議会もなくなったため、これまで各地域の行政が担当してきた行政サービスのうち、いくつかは合併上越市では十分に担当できなくなったことにある。そこで新上越市は旧町村単位で新住民組織をたちあげ、新しい住民自治を模索しはじめているところである。その内実にはさまざまな偏差があり、いくつかは自らNPOとしての法人格を取得し、活発な活動を開始している。しかし他方では、新しい事態に対する住民の認識が、十分な自治を探りあてるに至っていない。今年度はこうした状況を発見し、来年度さらに調査の範囲を広げ、また内容を深めていくつもりである。
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