研究課題/領域番号 |
18520622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
宮内 貴久 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (10327231)
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研究分担者 |
大口 勇次郎 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 名誉教授 (00017112)
安田 次郎 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (60126191)
神田 由築 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60320925)
佐野 賢治 神奈川大学, 経済学部, 教授 (90131127)
小池 淳一 国立歴史民俗博物館, 民俗系, 助教授 (60241452)
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キーワード | 民俗学 / 日本史 / 文字文化 / 読書 / リテラシー / 職人 / 由緒 / 芸能 |
研究概要 |
福島県奥会津地方の職人は、棟梁の所に弟子入りして一人前と認められると、巻物が伝授される。大工が伝授される巻物には幾つかの流派がある。そのうち「番匠一流一切之大事」系統の巻物で、最古のものは宝暦9年(1759)であり、同派が伝える巻物は三輪神道の文書であることが確認された。同系統の文書で最古の史料は、高野山大学所蔵の「御流神道堅印信集 番匠之大事」で慶安2年(1649)である。本研究では、全国的な調査を行っているが、徳島県阿南市の大下家所蔵の文書に、会津の「番匠一流一切之大事」とほぼ同じ内容のものが発見された。同文書には寛文元年(1661)に高野山の法印宥慈が書写し、延宝2年(1674)に伝授されたと記されていた。三輪神道系の大工巻物は埼玉県秩父、石川県金沢市などにもあり、全国的に流布していたと考えられる。竹中大工道具史料館には版本も存在する。また、大阪歴史博物館所蔵の史料には、「番匠一流一切之大事」をベースにし、建築儀礼次第を絵図化したものもあり、さまざまな形で受容されたと推測される。 また、これらの文書には呪い歌が記されている。「霜柱氷の梁に雪の桁 雨の垂木に露の葺き草」という呪い歌は、今日でも全国的に火伏せの歌として伝えられてきている。山形県西置賜郡飯豊町では、家を新築した際にお祝いとして、この歌が記された御札を配ることが明らかになった。同歌が記された最古の文書は会津の宝暦9年(1759)であり、18世紀から火伏せの歌として存在していたことが確認された。 会津にはこの他にも別系統の巻物、『番匠記』がある。同巻物に類似した文書が、福島県郡山市、福井県福井市などで発見し、建仁寺流の儀礼書であることが確認された。
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