研究概要 |
1.前年度に引き続き、世界で唯一野生トキの生息する中国陝西省洋県トキ救護飼養センターなどにおいて、トキ保護の現状と実態について調査を行った。 2.中国の研究者である曹斌氏(財団法人進化生物学研究所 客員研究員・中国社会科学農業発展研究所「研究員)の協力を得て、中国におけるトキ保護に関する論文を収集した。そのうち、本研究課題と 特に関連の深い2本の論文、劉源「絶滅に瀕する種の保護のもとにおける山村発展の困境-陝西トキ国家級保護区の事例-」(『思想』32-6,2006)および張躍民・張哲隣・丁海華・王超「トキ生息地保護における緑色農業の応用」(陝西師範大学学報(自然科学版)34,2006)を曹斌氏に依頼して翻訳した。 3.トキ保護センターのある佐渡市新穂において、水田の開発と管理に関係すると考えられる日吉神社の山王祭について予備調査を行い、関係の文献を収集した。山王祭については萩原龍夫によって新穂日吉神社の宮座による祭祀組織と水利系統の関連が指摘されているが、十分な検証はされていない。新穂日吉神社からさらに舟下、八王子、大野を含めた日吉7社を視野に入れて調査することによって、トキの生息地であったこの地の水田の開発過程の一環が明らかになると考えられる。
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