本研究は、文化人類学的ディスコース分析とプラクティス分析の手法及び知識社会学、思想史、政治学などの学問の視点から、中国の社会主義革命における中国的全体主義、特にその政治文化や社会統合の仕組み、社会認識のあり様を究明するものである。 具体的には、革命勝利直後の1950年代という転換期に重点を置き、その時代に相次いで行われた政治学習キャンペーンや、胡適批判運動、知識人改造運動、粛反運動、反右派闘争などの政治運動における知識人像を見つめ、個々の知識人が共産党のイデオロギーやマルクス主義への受容や、自己批判に迫られたこと、批判されたこと、また、知識人が一つの社会集団として徐々に「敵化」されていったことなどの諸現象を分析し、それを通して、中国革命の政治文化における政治体制の構造や、社会統合の組織的特徴及び社会認識論などをより明らかにした。
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