1.口頭発表 4月19日に開催された日本ナイル・エチオピア学会において「生業の破綻をいかに防ぐか:エチオピア西南部の山地農耕民マロの事例から」と題した口頭発表を行った。ついで5月25日の日本アフリカ学会では「繰り返される襲撃:エチオピア西南部の農耕民マロにおける事例」というタイトルで発表した。 また6月下旬にペルー・クスコで開催されたThe llth International Congress of EthnobiologyではBetween Famine Food and Local Food: Indigenous Management and Utihzation of Edible Aroids in Southern Ethiopiaというタイトルで口頭発表し、エチオピア西南部地域におけるテンナンショウ属などの植物資源の利用と維持について民族集団間のちがいとともに考察した。 2.論文発表 前年度末に投稿したエチオピアの農耕民マロのタロイモ品種の維持管理に関する論文について、査読コメントに従い改稿を行って9月に再投稿し11月に掲載が許可された。今年前半にEconomic Botany誌に掲載される予定である。また2004年の国際民族生物学会で同じセッションだった人たちを中心とした論集原稿の改稿を10-11月に行い、その論集はアメリカで今年4月に出版されたと編集者より連絡を受けた。エチオピアの農耕社会において一部の野生植物から農耕環境を読みとることがあることを報告するとともに、他地域における事例についても整理し、従来看過されがちだった間接的な植物利用の重要性について議論した。 また本科研のテーマに含まれるものではないが、エチオピア西南部における牧畜民と農耕民の間の紛争に関して、およびその農耕民マロにおける呪術的信仰についてそれぞれ論文を発表した。 3.その他 一昨年より調査を開始した南信州の山村における環境利用の変遷について、8月にききとり調査を行った。その際には大阪府立大学の道下雄大氏にも研究協力者としてご参加いただいた。本科研は調査を主体としたものではないとはいえ、研究代表者が主たるフィールドとするエチオピアを訪れることができなかったことが悔やまれる。
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