研究概要 |
本年表の目的は、伝統的な和装文化と外来の洋装が拮抗し、現代の身装文化の方向性に結びつく様々な問題を提起した明治維新以降、約80年を対象として、服装に関する近代日本の文化変容を具体的な事柄および画像を用いて明らかにすることである。そのためには、年表形式をとるのがもっとも適切であると判断し、つぎのふたつの条件を設定して身装電子年表を作成した。(1)「ある時期(近代日本)、これこれの人々はどのような身装によって生きていたか」という具体的イメージを、文字と画像によって時系列にウェブ上に表現すること、さらに、(2)近代日本の身装にかかわる文化変容のステップとなる重要テーマを同時に表現すること。 作成した電子年表は、<事件>欄と<現況>欄、および主に<現況>に関連する画像で構成している。本電子年表に収録している事柄の件数は、<事件>と<現況>をあわせて約5,000件である。抽出したこれらの事柄は同時代資料、とくに当時の代表的な新聞11紙および地方有名紙を精査した結果である。画像は約600件であり、やはり上記の新聞を対象として各年の情景、人に関する代表的な画像を、一定の基準に従って抽出した。19年度の成果として『年表・近代日本の身装文化』(三元社2007年)を刊行したが、この時点よりも事柄は約1.3倍となっている。検索は、画像のキャプションも含んでフリーキーワードでの検索が可能であり、さらに、80年間の文化変容にかかわる33の重要主題でも検索が可能である。ソフトの基本部分は、堀内カラーのイパレット/kumuであり、これは、データ作成機能、検索機能、およびモチーフを指定してのアノテーション機能を備えている。3つ目の機能の利用については、今後の課題としたい。ウェブ上での作動の確認は完了しているので、近い将来公開に至りたい。
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