研究概要 |
本年度は3年計画の第2年目としての調査研究をした。 (1)調査地は前年度と同じく新彊ウイグル自治区チギプチャル地区(西シボ)および遼寧省藩陽市興隆台地区(東シボ)で実施した。 (2)東ジボでは,伝統的な民族文イビが比較的堅実に維持されてきたが,漢民族との婚姻数の増加,高等教育への進学率の上昇,学校教育における漢文化(国民文化)の増強などによって,240数年間持続したシボ文化が漢文化の方向に向かって変容しようとしている状況が明らかになった。 (3)東シボでは,既に数世代前から漢文化への同化が始まり,今日では言語,宗教,服飾,音楽等の伝統文化が喪失しているが,近年,西シボから移住してきた教師夫妻の働きによって,細々ながら興隆台の小中学校で,シボ語やシボ音楽などを教育する試みが始められ,とれに対し東シボ族の人びとの大きな関心が集まっている。このような民族文化再生の芽生えとその伸張が今後注目される。 (4)本研究では,中国ナショナリズムの中での少数民族文化の存立がいっそう問われているように見える。 (5)研究成果は,紀要やシンポジウム等で中間報告した。
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