本研究の目的は、豪州国立図書館に保管されている「ウィリアムズ・コレクション」に含まれている長崎外国人居留地関連資料の発掘調査および分析をおこなうことである。 この目的のもとに、本年度において、研究代表者(Brian F. Burke-Gaffney)は、研究分担者(木村博)との綿密な打合せをふまえて、首都キャンベラにある豪州国立図書館に出向き「ウィリアムズ・コレクション」の調査と長崎関連資料の発掘・分析をおこなった(調査期間は、平成19年2月19日〜3月11日)。豪州国立図書館の「ウィリアムズ・コレクション」は、当初想定していた以上に整備されており、日本ではもはや直接触れることのできない貴重な資料を直接閲覧することができ、本研究にとってじつに有益であった。じっさい、「ウィリアムズ・コレクション」のなかで、長崎居留地にかんする書類・写真・図面など約500点のコピー・写真撮影をすることができた。さらに、今回の調査出張では、神戸の外国人居留地の研究に従事しているオーストラリア国立大学の研究者との知見も得ることができた。この点は、今後の研究におおいに役立つものと期待できる。(この研究調査の成果は、平成19年7月にオーストラリア国立大学で開催されるJapanese Studies Association of Australiaで研究発表される予定である。さらには、従来、いわば点在的にすすめられてきた外国人居留地研究を、長崎、神戸および横浜を含む横断的な外国人居留地研究へと展開していきたいと考えている。) 以上の研究をとおして、われわれは、これまでおろそかにされてきた長崎外国人居留地にかんする歴史的・文化的研究を前進させるうえで、人間学的研究がきわめて積極的な寄与を果たしうるものであることを確認した。
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