研究概要 |
本研究の目的は,豪州国立図書館に保管されている「ウィリアムズ、コレクション」に含まれている長崎外国人居留地関連資料の発掘調査および分析をおこなうことである。 2007年度は,前年度におこなったオーストラリア国立図書館における「ハロルド、S、ウィリアズ、コレクション」調査の成果にもとづき,英国、ロンドンの国立公文書館(National Archives of the UK)および国立図書館(The British Library)における長崎居留地関連資料の調査を中心に行なった。 この研究調査の主な成果はつぎの2点に集約することができる。 (1)国立公文書館では,長崎英国領事館関連文書,とりわけ1859年(安政6年)から太平洋戦争前夜まで当領事館から送付された書簡や報告書(FO262)を中心に調査し,1,200枚の及ぶ資料をデジタル、カメラで撮影した。その内容は,今まで知られてこなかった長崎居留地の歴史と生活および長崎における国際交流の様子に光を当てるものや,ハロルド、ウィリアムズの研究を補足、拡大するものが多く含まれている。FO262の公文書の他に,フレデリック、リンガーの遺書を始めとするリンガー家関連資料,長崎居留地の地図類,および幕末に締結された日英修好条約のコピーなども収集することができた。 (2)国立図書館では,ハロルド、ウィリアムズの著作や長崎居留地関連書籍を調査し,リストアップした。さらに,1869年(明治2年)から翌年にかけて発行された英字新聞「ナガサキ、シッピング、リスト」(Nagasaki Shipping List)が当図書館に保管されていることを確認し,マイクロフィルムによるコピーを入手した。 こうした調査をとおして,今回の収集することができた新資料が長崎居留地に関する人間学的研究におおいに役立つことを確認することができた。
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