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2006 年度 実績報告書

北部カメルーン・フルベ族社会におけるコピー文化と口承文芸

研究課題

研究課題/領域番号 18520639
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立民族学博物館

研究代表者

江口 一久  国立民族学博物館, 名誉教授 (90045261)

キーワード文化人類学 / 民族学 / 外国文学 / フルベ族 / 口承文芸
研究概要

本研究の目的は北部カメルーン・フルベ族社会におけるコピー文化の出現と口承文芸の変貌との関係をさぐることにある。そもそも、従来、口承文芸は聞き手の目の前で、直接、語り手、歌い手が演じるものであった。ところが、録音・録画などのコピーが可能になったあと、口承文芸は実演・実技からはなれて、コピー媒体にのって、一人歩きするようになる。フルベ族のあいだには、民族的なフルフルデ語をつかった伝統的な口承文芸がある。この口承文芸の一部は、ワンバーベといわれる職業的な芸人たちによってささえられてきた。従来、支配階級、富裕な人たちが、このワンバーベのスポンサーになっていた。ところが、1980年以降、南部出身の大統領が登場し、この従来支配層であった人も、弱体化することになる。また、このころから、南部出身者の多くが北部カメルーンに流入する。この流入者は、都市を中心にはなされている地域共通語としてのフルフルデ語(コイネー・フルフルデ語)をはなすようになる。また、北部の都市を中心とし、フルベ族の若者たちは、日常生活のありとあらゆる場面で、非フルベ族の人たちと交渉をもつことになり、自分たちも、いわば正統的、伝統的なフルフルデ語をはなさなくなり、コイネー・フルフルデ語をはなすようになってくる。こうして、フルベ族の若者層や「フルベ化」した人たちや、外部からの流入者は、コイネー・フルフルデ語がつかわれるカセットやCDに録音された口承文芸の愛好者となる。今回の調査でわかったことは、世の中が変わっても、大衆はコピー文化によって、口承文芸をたのしむことになる。そのおかげで、吟遊詩人や牧人によってうたわれる実演による口承文芸は衰退した。けれども、より音楽性のたかいコピー文化による口承文芸は、今日でも健在である。家庭における昔話などの口承文芸は衰退しつつあるとはいえ、以前とかわりはない。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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