平成18年度は、本調査研究の初年度にあたるため、本研究目標の前提となる紛争経験者に対して司法書士の利用について、司法書士ならびに紛争経験者に対して面接調査を実施した。また、本研究と併行して実施している特定領域研究「民事紛争全国調査」において一昨年実施した調査で得られたアンケート結果のデータを分析していく過程で、準法曹で相談できる人がいるかどうかと法曹で相談できる人がいるかどうかには、強い相関があることがわかった。このため、本研究においても、この知見を参考にして、実施していたインタビュー調査では、途中から、司法書士を知っているかどうか、利用したいと思うかどうかだけでなく、弁護士を知っているかどうか、利用したいと思うかどうかについても調査することに改めた。 インタビュー調査を実施した結果、特定領域研究のデータ分析の結果と同様に、準法曹の知り合いがいる者に法曹の知り合いがいる割合が高かっただけでなく、法曹だけでなく準法曹すら敷居が高く、紛争解決のために利用することに抵抗を感じる者がいる一方で、紛争のケースに応じて、相談相手を使い分け得る者も少なからずいることが明らかになった。また、インタビュー調査結果の一部からの印象にとどまるものの、法の主題化/非主題化は、紛争経験者当人の社会状況的要因によって決定される面がある者の、自主的選択をしている層が存在していることがわかった。 今年度はさらに、裁における司法書士への調査にも取りかかったが、インタビュー調査をするには至らなかった。
|