1.現状の分析検討の結果 地下水の管理と利用は、第一段階では、地下水の使用目的が個々の利用者の目的を達成する限りで利用され、利害関係の衝突も個と個の間で生じていたことから、民法上の権利利益の保護を目的とする法システムが構築された。第二段階では、公的な利益を保護するために所有権に対する警察目的からする規制が行われるようになった。典型的事例は地盤沈下の防止である。これはしかし必要最小限の規制が行われるものであって、具体的には東京、名古屋そして大阪の地域指定が行われた範囲内で行われた。また、水質汚濁の防止も社会的利益として規制が行われるようになった。しかし、第三段階では、水文学のアプローチから健全な水循環の堅固という課題が生まれてきた。水管理計画が提案され、水の管理利用をめぐる様々な手法が導入され、例えば淀川水系委員会のように重大な問題に直面するに至った。そして、第四段階として、国際的温暖化対策のような国際的課題との関係、ウォータービジネスや専用水道、特に水道法の規定からは専用水道に該当しないとされる事業などが注目されるに至った。 2.法制度改革の可能性 ウォータービジネスや専用水道路の設置は多くの場合民間企業によって行われているが、渇水期などうまく処理できる法制度を要する。特にこれらが「地下水=公水」論によって調整法制度が求められることとなった。また、利用関係の規制についても、柔軟に行動できるようにしたかった。しかし、地下水を公水とするドイツにおける法制度を概観すると、所有権の排除、行政による規制などを概観すると、容易ではないということも明らかにした。
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