この間、資料収集を継続するとともに、次のような研究論文および資料を公表した。 1)「沖縄自立構想の歴史的展開」日本法学第72巻第2号・日本大学法学部・平成18年11月15日発行) 沖縄ほど自立についての議論のある地域はない。その理由は何か、(1)島嶼・亜熱帯などの地理的条件、(2)王国の歴史・非武装の島、(3)大戦時の地上戦の経験、(4)米軍統治、(5)復帰思想の5点を挙げることができる。さらにその背景に少数民族意識がある。本研究では、ここから表出した自立構想を歴史的にその時代的背景と共に分析する。すなわち(1)明治期、(2)終戦直後、(3)復帰前後、(4)復帰10年目前後、(5)1995年前後である。最後に21世紀分権時代の沖縄と道州制をテーマに沖縄の現状を分析する。 2)「沖縄県の誕生-施政権返還・沖縄振興計画」『戦後をたどる』(琉球新報社・2007年2月) 「復帰」は、復帰運動の理念とは異なったものになった。政府の基本政策は、(1)日本国への組込み、(2)経済振興策、(3)米軍基地の安定的維持であった。この三者は、一体であることを明らかにする。 沖縄県の誕生は、法的には戦前の沖縄県が復活したと理解される。市町村については、戦前-米軍統治下-復帰後の法的連続性が確保されている。道州制こそが、「沖縄県の誕生」という表現を使用するとなると道州制の際こそ沖縄県の「誕生」となるかも知れない。 3)資料「島袋清徳に聞く」自治おきなわNo.400、401、402、403(沖縄県町村会発行・2006年1月、4月、7月、10月、2007年1月)、基地所在自治体の一つである伊江村の前村長に、基地行政、離島行政という沖縄自治体の特質にかかるテーマについてヒャリングの記録である。
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