(1)年度の前半は、2007年1月に始まった農水省「農地政策有識者会議」と同「専門部会」の審議に参画し、農政改革下の農地制度見直しの方向に関する多大な情報を入手しつつ、自らも積極的な意見表明を行った(発言内容は、農水省のホームページで公開されている)。あわせて、経済財政諮問会議「グローバル化改革専門調査会-EPA・農業WG」の「新しい農地改革」提言の動きも逐次にフォローし、両者の議論が11月の農水省の改革提案=「農地政策の展開方向」に帰結する経緯を、(2)の作業を踏まえて分析した。論文(2)は、その成果の一部の発表であり、改革論議の焦点をなす「農地貸借の大幅規制緩和」案に内在する重大な問題点を克明に析出している。 (2)上記の法制度的分析の現実的な基盤を確保し、より客観的なものとするため、(1)農村現場での聞取り調査(静岡県、福島県、山形県)を行うとともに、農水省委託の実態調査にかかる2つの研究会に委員として参加した。また、(2)日本農業法学会が7月に設けた「農地制度研究会」の主査を引き受け、年度後半に2回の共同研究会を主宰し、本研究を進める機会としても活用した。 (3)以上を踏まえて年度末に成果取りまとめを行う予定であったが、農水省が具体的な制度改正法案の立案作業を次年度に見送ったので、本研究もさらに継続・発展させることとし、新たな視点を加えた研究計画を立てて平成20年度以降の科研費の交付申請を行った(内定通知を受けている)。
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