研究概要 |
平成18年度は,来日外国人犯罪の実態の把握を中心に検討を進めた。来日外国人犯罪の現状把握については,「東京都青少年の健全な育成に関する条例」との関係も含めて,渋谷等の東京の繁華街における犯罪実態調査,意識調査等を行い,その成果の一部として,「青少年に関する都条例の改正と東京の変化」(都市政策研究1号・平成19年)を公表した。 さらに,最近数年間,犯罪の発生件数が減少に転じていることから,この傾向と外国人犯罪の状況との関連について検討した。警察等の協力を得つつ調査を進めたが,路上強盗,ひったくりなどの国民に身近な犯罪の増加に伴い,これに対応するための来日外国人犯罪,少年非行への対応などが展開されてきたことを確認した。そして,その効果として犯罪減少を捉えることが可能かについて,検討を進めている。これらの調査の成果の一部が,「犯罪認知件数の減少と刑事政策」(『犯罪の多角的検討』所収・平成18年)である。 また,来日外国人が関係した犯罪の1つの典型であるトラフィッキングについても,その実態の把握を中心に検討を進めた。トラフィッキングに関しては,タイ・ルートのトラフィッキング事件、コロンビア・ルートの事件、ロシア・ルートの事件等が摘発されてきたが、その後の動向について関係当局の協力を待つつ、可能な限りの具体的事例を収集した。この調査に当たっては,事件の実態の解明もさることながら、いかなる手法で検挙、処罰することが最も効果的かという観点にも留意した。そして,風俗営業適性化法改正,出入国管理法改正等の効果についても分析を行っている。
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