研究概要 |
本研究は,(1)来日外国人犯罪の現状把握,(2)来日外国人犯罪の対策,(3)来日外国人犯罪に関する国際協力のあり方の3課題について検討するものであるが,平成19年度は,その内,(2)来日外国人犯罪対策に重点を置いて検討を進めた。来日外国人犯罪の量及び質の変化を踏まえた上で,それと出入国に関する法整備との関連性を分析した。特に,出入国管理法の変遷について検討を加え,同法の改正に伴い,外国人の入国が質・量共に大きく変化していることを明かとした。 まず,平成に入ってからの来日外国人犯罪の急増は,日系人の入国の大幅な緩和,並びに日本とアジア・南米諸国との経済格差により大量の就労希望外国人が流入したことにより,外国人人口が急激に増加したことが大きな要因であることを示し,それに伴い,不法滞在者が増加し,入管法違反事件が多数発生するのみならず,刑法犯も増加したことを明らかとした。それに対し,近年の外国人犯罪の減少は,特別刑法違反としての入管法違反事件が減少していることに加え,凶悪犯や窃盗罪さらに偽造罪といった,不法滞在者により犯される割合の高い犯罪が減少していることによることを示した。ただ,刑法犯検挙者の中で,強盗の6割,殺人の7割,そして全体でも8割以上の者が,いわゆる正規滞在者により占められている事実が重要であることも明かとした。
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