研究概要 |
本研究は,(1)来日外国人犯罪の現状把握,(2)来日外国人犯罪の対策,(3)来日外国人犯罪に関する国際協力のあり方を課題とする。平成20年度においては,本研究の最終年度にあたることから,来日外国人犯罪の対策に向けた,具体的検討を行った。この検討に当たり,特に三重県に着目した。三重県は,1990年代後半におけるわが国の犯罪の急増期において,特にその増加率が高かった地域である。中でも,留置人員における外国人犯罪者の割合が特に高かった。そこで,まず,三重県における来日外国人犯罪の実態,原因の把握について検討するため,三重県における外国人登録者数の変化,治安状況の変化,外国人犯罪に顕著な犯罪類型,国籍別による犯罪の特色などの実態を調査した上,分析・検討を行った。その中で明らかとなったのは,この地域の特色として,わが国でも有数の自動車産業,電気産業の工場を抱えていることであり,そのため,特に南米からの日系人が多く雇用され,外国人登録者数も県内の特定の地域に集中していることである。来日外国人の人口が増加すれば,それに伴い犯罪率も高くなるのは当然であるが,1990年以降,全国の外国人犯罪の割合に比べ,三重県の外国人犯罪の割合は倍以上の数字を示した。それに対し,2002年以降,急速に犯罪が減少した点についても検討を加えた。実態調査の結果,その要因としては,警察官の増員,地域警察簡易よる街頭活動の強化,さらにNシステムやDNA型データベース等の捜査支援システムの拡充に加え,住民の自主防犯活動の重要性も挙げられることが明らかとなった。
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