平成20年度は、ドイツ新保険契約法の施行、日本の保険法成立、保険業法改正という大きな変化要因が加わったため、日本の法改正との関連を踏まえて、研究計画に従い、ドイツ既契約約款の変更状況の実態調査、ベルリン自由大学法学部プレルス教授との論点整理に基づく研究討論を実施した。 日本の現行約款の問題点の検討、ドイツ新保険契約法164条1項の制定経緯と最終条文の検証、裁判例によるドイツ民法306条2項の補充的契約解釈とその限界の検討、ドイツ民法307条により無効とされた保険約款の変更状況の評価、ドイツ保険契約法の規定を再現した約款の内容に変更する場合の問題点に関する研究をすすめ、保険学雑誌603号「解約返戻金の約款規制」でその成果を公表した。 本年度の研究は、ドイツ法との比較研究の中で特に、任意規定が定められている場合の約款の内容変更への影響度、保険商品の特性に応じた保険監督法による規制の在り方にまで踏み込んで研究するために、解約返戻金に関する保険約款を集中的に検討した。
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