平成19年度は、平成18年度の研究成果をもとに、以下の研究を行った。 第1に、比較法的には、日本と同様に、建物を土地とは独立した不動産とする制度を採用し、マンションの大規模な建替え事業に着手している韓国について、集合建物の所有および管理に関する法律」の改正の分析を行い、日本法とは異なり、民事法よりは行政法手法が重視されていることが判明した。日本法では、建替え決議までは民事法、建替え作業は行政法手法を取り入れたマンション建替え円滑化法によることになる。問題を解決するための法制度の違いが、何に起因するかの分析に手間取っていることから、とりあえず、比較法的な分析よりは、韓国法の現状を明らかにすることを優先することにし、現在、取りまとめ作業に入っている。 第2に、我が国の区分所有法に影響を与えたドイツ法の最近の改正の動向を踏まえた上で、所有法が団体法を規律するという視点を維持した上で、区分所有関係の法的構造を分析した。区分所有関係では、所有権の構造は複雑である。専有部分は単独の所有権、共用部分と敷地利用権は区分所有者の共有であり、しかも、これらの権利を分離して処分することができない。この複雑な所有法の関係が団体法に投影されることになる。そこで、区分所有権が共用部分と敷地利用権と別々に処分できないとされている点、所有権を「結合」させる法制度が、専有部分に対する団体的規律を基礎づけていることを明らかにした。上記の研究成果は平成20年度に公表される予定である。 集合住宅・団地の合意形成過程についての調査分析は遅れている。
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