研究概要 |
本年度は,日本国内およびアメリカ合衆国の基本的文献の探査,整理を実施した。 外国調査として,カリフォルニア大学バークレー校のペーター・メネル教授(知的財産法)およびジェシー・フリード教授(倒産法)に対して,彼の地で面談した。その際に,アメリカ法の動向についての情報や彼の地の最新文献に関しても,適切なご助言やご教示をいただいた。 国内では,松下電器株式会社知的財産権本部の総括担当参事の櫻木茂氏,同社法務本部法務企画グループ渉外チーム,チームリーダーの榊原美紀氏,および同本部コーポレート法務グループ訟務チーム参事の片岡詳子氏をお招きし,本研究費による研究会「企業法務における知的財産権の処遇-インハウスローヤーの視点から」を実施した。その内容としてはこうである。企業の資産価値における知的財産権の重要性を巡るこの間の注目すべき変遷を指摘いただいた。また,そのうえで,企業の資産価値を計るものとして重要な知的財産権の価値を如何にして評価するのか,またその評価された価値をどのようにして会計システムに反映させるか,ということが重要な問題点として指摘された。そして,この価値評価の問題は,他社と合弁事業を行うため,新会社を設立する際に,大きな障碍ともなり得る。同様に,企業のM&Aに際して,また企業の倒産の局面に際しても,先鋭的な問題となるが,理論的にはまだ十分には検討されていない問題であることが明らかにされた。
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