• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

情報正義論の構築と知的コモンズ・伝統的知識の規律の在り方に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18530076
研究種目

基盤研究(C)

研究機関北海道大学

研究代表者

田村 善之  北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20197586)

研究分担者 小島 立  九州大学, 大学院法学研究院, 助教授 (00323626)
田上 麻衣子  東海大学, 法学部, 講師 (80408020)
キーワード知的財産権 / 情報正義 / 知的コモンズ / 伝統的知識 / 遺伝資源
研究概要

本年度は,総論として知的財産法の原理論を田村が,各論の情報契約論を小島が,伝統的知識論を田上と田村が主として担当した。
具体的には,総論の分野では,田村は,知的財産権の哲学,政策学に関する欧米の議論の検討を開始し,知的財産権にあっては,所有権と異なり,有体物に関わることというようなfocal pointを欠くために,権利が無限定に国際的に広がる性質を持っていること,ゆえに,ロビイイングに弱く,公衆のような組織化しがたい利益が反映されないまま,多国籍企業等の利益に従って権利が強化拡張される傾向にあること,ゆえに公衆の自由を確保する制度的な措置が必要であることという知見を得た。その制度的な構想は次年度以降の課題となるが,その地固めとして,知的財産法と経済学という観点をバイオテクノロジーにそれを応用した論文を発表するとともに,有望な英語論文の翻訳を公刊した。
各論として,情報契約論に関しては,田村が拠点リーダを務める北大法学研究科21世紀COEプログラムに招聘されたWendyGordonと,田村,小島が交流し,相互交流に務めた。小島は,サイバースペースにおける情報取引のあり方について自己の立場をまとめる論文を発表するとともに,営業秘密の法的保護,美術館や博物館等における電子アーカイヴ事業をめぐる法律問題に関する研究などの派生的な問題にまで検討の対象を広げた。
また,田上は,遺伝資源の国際的な認証の在り方に関する技術専門家会合における遺伝資源の国際的な認証制度創設に係る議論、世界知的所有権機関(WIPO)における伝統的知識及びフォークロアの保護に係る規定案の策定に係る議論、国連人権委員会の「先住民に関する作業部会」における「先住民の遺産の保護に関する指針及び原則」に係る議論等について、それぞれ調査し、比較研究を行った。田村も,知的財産法は競争的に社会を繁栄させる文化を前提としており,持続的な共同体文化には妥当するものではなく,問題はその両文化の調整にあるという観点から,伝統的知識に関する原理論を考察する論文を発表した。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (19件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 知財立国下における商標法の改正とその理論的な含意-地域団体商標と小売商標の導入の理論的分析2007

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      ジュリスト 1326号

      ページ: 94-105

  • [雑誌論文] 効果的な特許制度標準化技術に関する多元的理論の試み(1)2007

    • 著者名/発表者名
      LEE Nari(著), 田村 善之(翻訳)
    • 雑誌名

      知的財産法政策学研究 14号

      ページ: 113-142

  • [雑誌論文] 【翻訳】伝統的知識の保護に関する規定案 : 政策目的及び基本原則2007

    • 著者名/発表者名
      田上 麻衣子
    • 雑誌名

      特許研究 第43号

      ページ: 79-87

  • [雑誌論文] Information Transactions in a Digital Environment : From the Perspective of Intellectual Property Law2006

    • 著者名/発表者名
      Ryu KOJIMA
    • 雑誌名

      Intellectual Property Law and Policy Journal Vol. 11

      ページ: 185-203

  • [雑誌論文] 抽象化するバイオテクノロジーと特許制度のあり方(2)2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      知的財産法政策学研究 11号

      ページ: 65-84

  • [雑誌論文] 抽象化するバイオテクノロジーと特許制度のあり方(3・完)2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      知的財産法政策学研究 12号

      ページ: 91-113

  • [雑誌論文] 創作者の保護と知的財産の活用の相剋2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      日本工業所有権法学会年報 29号

      ページ: 95-112

  • [雑誌論文] 職務発明の相当な対価請求に関する手続的な規律のあり方2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之, 津幡 笑
    • 雑誌名

      季刊労働法 213号

      ページ: 60-70

  • [雑誌論文] 知的財産権和民法2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之[翻訳:王〓]
    • 雑誌名

      中日民商法研究 5巻

      ページ: 300-304

  • [雑誌論文] 絵画のオークション・サイトへの画像掲載と著作権法2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      知財管理 56巻9号

      ページ: 1307-1322

  • [雑誌論文] 伝統的知識と遺伝資源の保護の根拠と知的財産法制度2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      知的財産法政策学研究 13号

      ページ: 53-70

  • [雑誌論文] 費消済みインクタンクにインクを再充填する行為と特許権侵害の成否(上)2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      NBL 836号

      ページ: 18-34

  • [雑誌論文] 費消済みインクタンクにインクを再充填する行為と特許権侵害の成否(下)2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      NBL 837号

      ページ: 44-48

  • [雑誌論文] 不正競争防止法に関する裁判例と法改正の動向2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      不正競争防止法の論点(第二東京弁護士会知的財産権法研究会編)

      ページ: 1-38

  • [雑誌論文] 特許権の消尽理論と修理と再生問題-インクカートリッジ事件知財高裁大合議判決の意義-2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 雑誌名

      知財年報 I. P. Annual Report 2006

      ページ: 180-208

  • [雑誌論文] デジタル環境における情報取引2006

    • 著者名/発表者名
      小島 立
    • 雑誌名

      知的財産法政策学研究 11号

      ページ: 163-184

  • [雑誌論文] ALAI Congress-Paris, 18-21 Sep. 2005(2005年ALAIパリ大会)の研究成果2006

    • 著者名/発表者名
      小島 立
    • 雑誌名

      ALAI(国際著作権法学会)日本支部2005年度知的財産に関する国際研究大会「講演録」

      ページ: 2-12

  • [雑誌論文] アメリカにおける営業秘密保護について2006

    • 著者名/発表者名
      小島 立
    • 雑誌名

      中央知的財産研究所研究報告『不正競争防止法における営業秘密の保護について』 第20号

      ページ: 39-49

  • [雑誌論文] 遺伝資源及び伝統的知識の利用及び保護をめぐる知的財産権問題2006

    • 著者名/発表者名
      田上 麻衣子
    • 雑誌名

      知財研フォーラム Vol. 66

      ページ: 2-9

  • [図書] 『知的財産法』(第4版)2006

    • 著者名/発表者名
      田村 善之
    • 総ページ数
      521
    • 出版者
      有斐閣

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi