本研究は、知的財産権侵害に関する国境措置(以下「国境措置」という。)に関する法的問題を理論的に分析検討することを目的とするものである。具体的には、(1)我が国及び欧米等の主要国の国境措置の実態把握、(2)国境措置に関係する国際ルール(TRIPS協定、パリ条約等)の規律の分析・検討、(3)国境措置の手続き的側面に関係する国内法の分析を行ったうえで、(4)我が国としてのあるべき国境措置についての検討を行うことを目指している。 平成18年度においては、次の研究を行った。 (1)国境措置の実態把握 我が国及び欧米等主要国の国境措置の実態につき、文献調査を通じて把握した。 (2)国境措置に関する国際ルールの分析 第一に、TRIPS協定等の国境措置を直接規律する国際ルールについて、GATT・WTOパネル報告等を踏まえつつ、分析・検討した。第二に、パリ条約やTRIPS協定等の知的財産権の成立・効力に関する国際ルールによる国境措置及びその前提としての知的財産権の効力に係る規律について分析・検討した。 (3)国境措置の手続き的側面に関係する国内法の分析 我が国の国境措置を巡る法改正をフォローするとともに、その国際法的及び国内法的問題点について検討した。また、この点に関する研究を踏まえ、「模倣品・海賊版対策」と題する論文を執筆しジュリスト誌に発表した。 以上のいずれについても研究は継続中であり、19年度に研究を完了するとともに関連する論文を執筆する予定である。
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