本研究は、1997年に日韓両国を襲った深刻な金融危機への対応が両国で大きく異なった理由を明らかにすることによって、政党が経済政策を左右する重要な要素であることを主張し、金融政策決定過程に新しい視点を提示するものである。 1.韓国における重要拡大政策のタイミングと規模を調査した。需要拡大は1999年に大規模に発生しているが、これは金大中政権のIT政策に大きく関係のあることが分かった。すなわち、電子取引の拡大を行うために奨励した、消費者によるクレジットカードの使用が過剰に行われたため、消費が拡大した。しかし、カード使用に関する消費者の健全性認識が不十分であったため、消費者のカード破産が相次ぎ、盧武鉉政権期初期に経済調整局面を必要とすることになった。 2.韓国の都市銀行の健全化について、1998年の第1次調整、1999年の第2次調整、メガバンク再編について調査した。第1次調整では、事実上破綻状態の都市銀行の経営権を奪う形で強制的な調整が行われたことが分かった。第2次調整およびメガバンク再編では、第1次調整の結果、多くの銀行の経営権を政府が把握しており、そのもとで行われたことが分かった。この観点からすると、鄭のいうように開発主義国家的な、国家主導による再編ということができる。しかし、1997年以前と異なり、政府の視野は国内金融秩序の維持・産業資金の供給から大きく転換している。この転換には、外資が韓国の金融機関に参加したことによる新たな基準の導入と、外資が好むような銀行経営を是とする一般有権者の志向が政党を通じて行政に織り込まれたことが重要であることが明らかになった。
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