研究概要 |
本年度は以下の作業を行った。 1学術書・学術論文・政府報告書等を中心に、先行研究の追加レビューを行った。 2(1)Docket Files、(2)Federal Register、(3)発着枠関連データの収集・整理を継続した。 3September 12,1994-July 1,1999の発着枠取引データのオヘア空港分を用いて、定量的手法により、発着枠取引市場の競争性の検証を試みた。その結果、売買/貸借される発着枠の数と発着枠貸借期間のいずれも、関連会社間の取引におけるそれらが、ライバル会社間の取引におけるそれらよりも、統計的に有意に多いことが判明した。発着枠取引市場が十分に競争的に機能してきたとは言い難いことを示すこの分析結果については、2007年10月開催の日本交通学会にて報告し、同学会の年報『交通学研究2007年研究年報』(日本交通学会、2008年)に論文(査読付)として掲載された。 4.さらにラガーディア空港についても上記期間の発着枠取引データの定量的分析を行ったところ、同空港ではオヘア空港とは全く対照的に、新規参入のライバル会社が発着枠の貸借において差別されているとは統計的には言えないことが明らかとなった。この分析結果は、中村則弘・高橋基泰編『国際比較研究叢書3グローバリゼーションに対抗するローカルー相互補完の可能性』(明石書店、2008年)に公表された。 次年度以降、他の期間や他の空港について同様の分析を施すと同時に、各空港で発着枠取引市場の競争性が異なる原因の解明も試みたい。
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